ミャンマー弾圧で華僑も犠牲に、遺族「中国を恨んでいる」 東南アジア諸国華僑が共鳴【ニュース】

2月ミャンマーでクーデターが発生した後、在米ミャンマー人はロサンゼルスの中国総領事館の前で、中国当局がミャンマー国軍を支援しているとして抗議活動を行った(徐綉恵/大紀元)

ロイター通信によると、ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」は29日、2月にクーデターが発生して以来、国軍の治安部隊による武力鎮圧で、抗議デモの参加者や一般市民が510人以上死亡したことを明らかにした。

ミャンマーの中国系住民は、国軍に影響力を行使できる中国当局が「内政不干渉」を盾に、武力鎮圧を無視していることに憤っている。東南アジア各国の中国系住民も、中国当局の態度に怒りをあらわにした。

今月14日の抗議活動で、治安部隊は少なくとも74人の抗議者を殺害した。うちの1人は中国系住民、17歳の医学生林耀宗(Khant Nyar Hein)さんだ。

ネット上では、林さんの葬式で林さんの母親が中国当局に対して悲痛に訴える様子が映った動画が注目された。

「私の息子は頭が良くて優しかった。その息子を失った」「中国(当局)には、私たち住民のことも考えてほしい。私たちは民主主義、正義、自由を望んでいる。私たちを助けてほしい」

「私たちは中国人だ。でも、私は中国の政府が嫌いだ。中国(当局)を恨んでいる」と母親は涙ながらに訴えた。

林さんの父親も「中国政府よ、私たちは華僑だ。民主主義を求めているミャンマーの市民、ミャンマーの華僑を助けてください」と悲しい声で話した。

シンガポール華僑「中国当局は嫌い」

東南アジア各国の華僑は、林さんの両親の悲痛な声に共鳴した。

シンガポールに30年以上住んでいる張さんは「ミャンマー国軍による武力弾圧で多くの人々が犠牲になった。平和と自由・民主主義を支持する各国の政府は皆、ミャンマーの国軍を非難しているのに、中国当局だけが、当初、国連の非難声明発表を阻んでいた。だから、ミャンマー国軍が、何も憚らずに民衆を弾圧している」と大紀元に語った。

「私は林さんの母親と同じく、まだ中国のパスポートを持っている。でも、中国共産党のならず者のような振る舞いを見るたびに、強い憎悪を覚える。中国共産党の暴力文化を絶対に認めない。私は中国人だが、共産党統治下の中国人ではないと自覚している」

インドネシア華僑「華人排斥暴動を思い出す」

インドネシア・ジャカルタに住む中国系2世のキャロラインさんは、「東南アジア各国で暴動が起きるたびに、中国系住民が犠牲になる。このようなことが繰り返されている」と話した。

「私たちも林さんの母親の動画を見た。本当にかわいそう。中国政府は、大変な状況に陥っている華僑に対して、どうして救いの手を差し伸べないのか?1998年にインドネシアで起きた華僑が標的にされた暴動でも、中国政府は手をこまねいて、華僑に何の支援もしなかった」

98年5月に起きた暴動に関して、中国メディアの大半は報道を行わなかった。当局は国内の大学生に、インドネシア政府に対する抗議活動の開催を禁止した。7月、当局は初めて、暴動は「他国の内政である」「インドネシアの内政には干渉しない」と表明した。

キャロラインさん一家は暴動のなか、シンガポールやマレーシアに避難していた。華僑が再び標的にされるのを恐れて、キャロラインさんの子どもらは現在、アメリカに移住したという。

一方、華僑の李さんは、1965年の「赤狩り」と呼ばれたインドネシアの共産党員大虐殺でも、多くの華僑が巻き込まれたと話した。「中国共産党は政権を発足した以降、東南アジア各国に共産主義を輸出した。あの時、中国共産党の支持を受けて、インドネシアの共産党の勢力が拡大し、中国当局と結託して、政権奪取を計画した。それが引き金となって、大虐殺が起きた」

李さんによると、中国とインドネシアの関係は近年改善したため、中国当局は現地の華僑組織を通して、インドネシアでの浸透工作や華僑への監視を強めている。「中国共産党の悪口を言う住民のことを中国領事館に密告する人もいる」という。

「中国共産党は国民のこと、華僑のことを考えたことがない。共産党の本質はファシストだ」と李さんは中国当局を切り捨てた。

タイ華僑は「中共はすべの問題の根源」

タイに住む羅さんは、「タイにいるミャンマー人とミャンマーの華僑は皆、中国当局に怒っている」と述べた。

羅さんはミャンマーに2年間滞在したことがある。「ミャンマー人は、中国企業による投資や中国人ビジネスマンの道徳観の低さに不満を持っていた」という。中国当局とつながっている中国企業はミャンマーで、カジノやホテルなどの施設を作り、高利貸しを行っているうえ、ミャンマーの政府高官と結託している。中国人ビジネスマンの中には、粗悪な商品や偽物を売るなどの悪徳商人も多い。

羅さんによると、ミャンマー国民は国軍のクーデターを通して、アウン・サン・スー・チー国家顧問に対する見方を変えた。「アウン・サン・スー・チー氏の政権が誕生した当時、中国当局はミャンマーへの圧力を強めた。ミャンマー産コメが中国に輸出できなくなったため、農家による政権批判が高まった。仕方なく、アウン・サン・スー・チー氏が中国を訪問して、中国との関係改善を図った。今回のクーデターで、ミャンマー人はすべての問題の原因が中国当局にあるとわかった」

羅さんは、タイの国民も華僑も、嫌がらせをする中国当局に対する不満が強いと話した。「中国当局はタイの観光業、食糧や果物輸出を含めて、タイ経済を掌握している。それはタイ人皆が知っている」

「林さんの母親が話した『私は中国人だけど、中国の政府が嫌いだ』は、タイ人、ミャンマー人、われわれ華僑の心の声である」

(記者・易如、翻訳編集・張哲)

転載 大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/70838.html


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